MF14脇坂 泰斗×DF13山根 視来 MF14脇坂 泰斗×DF13山根 視来

MF14 脇坂 泰斗 × DF13 山根 視来

チームがひとつでも上にいけるように

日本代表の頃から友達になりました(笑)

お2人の仲の良さはフロンターレサポーターにも知られていますね。
山根
昨日も一緒に食事に行ったしね。
脇坂
ミキくんがフロンターレに加入してからもう4年目か~。結構長いな(笑)。
山根
まだ僕がフロンターレに来る前、試合に出だしたヤストの印象は「やたらミドルシュートを決めるヤツ」でした。だけど頬と胸のあたりがパツパツで、川崎でまた良い選手出てきたな~でもなんか太ってんな。って(笑)。
脇坂
2019年かな?あれはユニフォームのサイズがちっちゃかったんですよ!!
そのあとチームメイトになって、最初から気が合うと感じたんですか。
山根
よく一緒にいるようになったのは初めて日本代表に呼ばれた頃(共に21年3月に代表初招集)からじゃない?
脇坂
僕が追加招集で代表に合流することになったときに、ミキくんにすぐLINEして「何持っていけばいいですか?」って聞いて、そこからかな。それまでは先輩って感じだったんだけど、ちょうど21年頃からチーム内に同じ歳くらいの友達がいなくなってたから、僕の友達の枠にミキくんをいれました(笑)。
仲が深まっていったのは、何か通じ合うものを感じたからでしょうか。
脇坂
サッカーを1番に考えてるところが一緒かなと。アウェイの時とか同じ車で移動するんですけど、車の中ではなんだかんだ結局ずっとサッカーの話で盛り上がってるんです。あと、ピッチの中と外をきっちり分けるタイプの人もいるけど、僕はピッチの中で起きた悔しいことも嬉しいこともその感情を引きずっちゃう。そこは似てるところなんじゃないかなって感じてます。
山根
そうかも。引きずるっていうのは悪い意味じゃなくて、ピッチの中でけんかして引きずるとかでもなくて…それも感じるところは一緒だと思いますね。
脇坂
勝った試合の帰りの車でも「勝ったのは良かったけど、もっと良くできるよね」って話したりね。
「チームをどう良くしていくか」といった深い話もすると伺いました。
脇坂
とくに昨シーズンはしましたね。練習の質が落ちてきてると感じたとしても、そういう時に若い選手にどう接していくかの難しさがあるね、とか。ただ言うだけじゃ響かないところがあるし…そういう、接し方や立ち振る舞いはどうすればいいかという話をしたり。
そうやって2人で話した中で何か実践されたことなどありますか。
山根
例えば、練習でグループに分かれてボール回しをする時、自然と仲が良い選手が集まってしまうところがあるんですけど、そこを僕らが率先してバラバラになったり。あとはあえて厳しい言葉を言い続けようと。「自分ができてるできてない」じゃなくて、そこは言い続けよう、とか。僕らもいろいろ考えてるんですよ(笑)。そういう年齢になってきたのかなって感じです。

ちょっとの差がとてつもなくでかい

昨年は山根選手がカタールで日本代表として戦いました。脇坂選手はどんな思いで見ていたんでしょう?
脇坂
ずっと応援してました。ただ、ミキくんだけじゃなくて知り合いがたくさん出ているW杯はそれまでとは違う見方をしていましたね。応援はもちろんだけど、やっぱり「自分も頑張らないとな」という気持ちになりました。
ここ最近のインタビューを読んでも今後の目標を「W杯に出る」と度々口にされています。
脇坂
今27歳なんですけど、実は年齢的にはもうカタールが最後のチャンスだろうと思っていたんです。でも彰悟さん(谷口彰悟選手・アル・ラーヤンSC)がW杯代表に選ばれたのがちょうど自分の4年後の年齢で。彰悟さんが代表に継続的に呼ばれるようになったのもW杯の1年前だったし、彰悟さんが移籍するときにもそれを伝えたんですけど、彰悟さんにもらった勇気はあります。影響を受けましたね。
山根選手にとってはどんなW杯でしたか?
山根
トータルでいうと、悔しいというか…「やっぱ俺、まだまだだったな」という大会だったと思いますね。ちょっとの差なんですよね、あの舞台で活躍できるかどうかというのは。でもそのちょっとの差がとてつもなくでかい、ということに気付かされた…そういう感じです。
脇坂
それは自分たちにも言えることで。本大会に選ばれるメンバーと選ばれなかったメンバーは、きっとちょっとの差なんだろうけど、でもそのちょっとの差はとてつもない差なんだと今は日々感じていて。それをミキくんは本大会に行って経験をして言えるっていうことはすごいことだと思います。
今季は苦しいシーズンになってますが、最後に一言ずつお願いします。
山根
今はチームがひとつでも上にいけるように選手全員で頑張ってるところです。サポーターのみなさんの応援が力になります。麻生グランドでのファンサービスも再開したので、スタジアムや練習場にぜひ来てください。みなさんと楽しく勝ち上がっていけるように一緒に頑張っていきましょう!
脇坂
いつもいい雰囲気を作ってくれるサポーターのみなさんにはとても感謝しています。そろそろリーグ戦も折り返しですので、いつまでも不甲斐ない結果じゃいけないと思ってます。引き続き応援をよろしくお願いします!
プロフィール

【山根 視来】1993年12月22日生まれ 神奈川県横浜市出身 クラブ公式プロフィール
高校時代は無名の存在ながら桐蔭横浜大学時代に頭角を現し、湘南ベルマーレにプロ入り。2020年、川崎フロンターレに加入すると右SBで定位置を掴み、リーグ優勝に貢献。2020・2021Jリーグベストイレブン選出。日本代表として2023年カタールワールドカップ出場。

【脇坂 泰斗】1995年6月11日生まれ 神奈川県横浜市出身 クラブ公式プロフィール
川崎フロンターレU18から阪南大学を経て2018年川崎フロンターレに加入。フロンターレの主軸として活躍を続け、副キャプテンとしてもチームを支える存在。2017年ユニバーシアード日本代表、2021年日本代表選出。昨シーズンから中村憲剛氏が付けていた背番号14を背負う。

フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye

仲が良いことは知っていましたが、今回お話してお2人の信頼関係が想像以上のものだと感じました。脇坂選手からは山根選手に対し、ふざけて絡みつつも話の端々で山根選手へのリスペクトを感じました。山根選手からも「ヤストとはチームでの立ち位置が似ていて、自然と自分の思いをヤストに伝えることが多くなる」と、少し年下の脇坂選手を頼りにしながら全幅の信頼を置いていることが伝わってきました。
話の中で、何度も「車の中で話して」という言葉がありました。その2人きりの空間で、フロンターレを良くするための言葉を交わし合ってる姿を想像するととても頼もしく感じます。この原稿を書いている5月中旬時点で、フロンターレはまだまだ苦しい状況が続いています。でもお2人のような存在がチームにいる限りきっと大丈夫、と思わせてくれたインタビューでもありました。