DF3 大南 拓磨
チームに安心感を与える絶対的存在に
高校1年生の頃がターニングポイント
- フロンターレへ移籍加入された昨シーズンをどう振り返りますか?
- とても刺激的でした。環境が大きく変わったこともだし、サッカー自体も今までやってきたものと全然違いましたし。「それまでの自分に無かった感覚」みたいなものが養えたのかなと。そしてリーグ戦は不甲斐ない結果に終わったけど天皇杯タイトルが獲れた。個人的には初のタイトルでとても嬉しかったですし、1年を通して成長できたと感じられるシーズンになりました。
- スタメン出場も多く、移籍1年目からポジションを掴んだ印象です。
- もちろん試合に出るつもりで移籍しましたし、ポジション争いで勝つためにやっていました。ただ昨シーズンは怪我人などイレギュラーがあったなかでチャンスが回ってきたので、本当のポジション争いはやっていないのかなと思います。
- ポジションを掴んだ、というよりチャンスが転がり込んできたという感覚?
- そうですね。でも運も実力というか、そういうところもサッカー選手をやっていくうえでは大事なことだと思っているので、自分にとっては悪いことではなかったと思います。
- 移籍2年目の今年はどういうものを見せたいと考えていらっしゃいますか?
- やっぱりCBとして、守備での安定性を求めていきたいです。そのためにチームのなかの『絶対的な存在になりたい』という気持ちがあります。「こいつがいれば大丈夫だろう」とか「失点しないだろう」という安心感をチームに与えられるのが僕の思うCB像。そういう選手になっていきたいと思っています。
- サッカー選手としてのターニングポイントがあれば教えてください。
- ぱっと思い浮かぶのは、高校(鹿児島実業高校)に入学して1年目にポジションが変わったところかな。それまではFWをやっていたんですが、CBにコンバートされたんです。そこが1番のターニングポイントになったと思います。
- FWからDFにポジションを変えられるのは嫌じゃなかったですか?
- 鹿児島実業のサッカー部って150人近くの部員がいるんです。入学しての最初の頃は、1年生だけで構成したチームだとスタメンで出られたりしたときもあったんですけど、日が経つにつれてスタメンから外れるようになって…。それでもいつチャンスが来てもいいように準備はしてたけど、なかなか出番が回ってこない状況が続いていて。
- その頃にコンバートのお話が?
- 鹿児島県代表を選ぶ国体の選考会に行った時に、そこで初めてCBでプレーするように言われたんです。実は鹿児島実業の監督と国体のチームの監督でそういう話をしていたみたいで。そこでCBとして県代表に選ばれて、そこからCBをやっていくことになったんですけど「試合に出られるなら!」って全く嫌だとは思いませんでした。
- なるほど。そしてやってみたらCBというポジションもけっこう面白かったと。
-
いやいや、ぜんっぜん面白くなかったです!(笑)やっぱり「点を決める」のがサッカーじゃないですか?でも点を決められるポジションにいれないし、なにより後ろは責任が重いというか。FWをしていた時と気持ちの余裕が違うんですよ。FWのときはミスを怖がらずに伸び伸びできていたのに、後ろではビビりながらやっていて、それが嫌で。
だけど、ちょっとずつCBの面白さがわかるようになってきたんです。鹿児島実業の監督が元々CBをやっていて熱心に指導をしてくれたんですけど、最初は「ヘディングで競り勝つ」っていうところで「楽しいな」って感じて。自分のタイミングでうまく飛べて、自分の最高到達点で叩けてってところを楽しめるようになってから、自分の思うようにボールが奪えたりとか楽しみを感じるようになって…。それからこのポジションがどんどん楽しくなっていきました。 - 続けていたら楽しくなってきたんですね。そのきっかけがあった時がターニングポイントだったと。
- 自分にはFWとしてはそこまで能力がなかったと思うし、あのコンバートが無ければそのままサッカー選手としては終わっていたと思います。今の自分はあの時があったからこそです。
最初は全然面白くなかった!というCBのポジション。でも今は、ミスが失点に直結する責任あるポジションだからこその面白さを感じることができるそうです。一方で、試合中にFWがチャンスを外したときには『俺なら決めたのに!』と思ったりもするそうで(笑)。さすが元FWですね!昨年はACLでフロンターレでの初ゴールがありましたが、今季はさらにたくさんのゴールを期待しちゃいます。
ちなみに大南選手には双子のお兄さんがいて「超大南」という名前で芸人をされています。等々力での共演もあれば楽しいな~と楽しみにしています。