川崎フロンターレ 山本 悠樹選手 川崎フロンターレ 山本 悠樹選手

MF77 山本 悠樹

周りとつながって自分を生かす

できないことを受け入れて成長できた

移籍加入した選手から、フロンターレで自分の良さを出すことに最初は苦労するとよく聞きますが、山本選手はあまりその苦労がなかった印象です。
いやいや、移籍の難しさは感じていますよ。ただ、僕は自分だけでなにかできるタイプの選手ではないと思っているので、そこに関して苦労は感じなかったかもしれないですね。僕は「誰かとつながりながらサッカーをしたい」と思っているんです。そうしないと自分のいいところが出ないと分かっているので、まず誰かとつながることに必死で取り組んでいるって感じです。
誰かとつながりながらサッカーをする?
自分の周りに誰かがいて、その誰かとつながれていたら、相手が来た時に「ここが空いてる」と感じ取れる…そういう感覚に長けていると思っているんです。そこが僕の得意分野というか。自分ひとりでゴールまで行けるような選手ではないからこそ、そういう感覚を持てたのかなと。だから他の選手とつながっていくために、その選手がどういう選手なのかを知ることに時間がかかったという感じです。今はある程度はみんなとつながれるようになってきたかな、と個人的には思っています。
ガンバ大阪の主力として活躍しているなかでの移籍の決断は驚きました。
ガンバに長くいて試合にも出させてもらって。ここから自分がさらにステップアップしたいと考えた時に、新しい環境に身を置くのもひとつきっかけになるのかなと。今まで積み上げたものを1度無しにしてしまう、勇気の必要な決断ではありました。でも、何も知らない場所で何も知らない人たちと、自分がどういきるようにサッカーをするか、誰かとつながるかを考えながらサッカーをするのは、難しいけど今は楽しいです。
ただ開幕からなかなかチームに結果が出ていないのは、新加入選手としては苦しい思いもあると思います。
いや~まあ、きついですよね。やっぱり自分のせいじゃないか?と思ってしまうときもあるし、それで自分のメンタルが崩れるときが少なからずあるし大変です(苦笑)。でもそういう苦しい経験を望んでやってきたところあるので。
苦しい経験を望んでフロンターレへ?
フロンターレに移籍してきた選手がなかなか試合に出られないのは知っていたので、苦しみながら自分をどう高めていけるかの勝負だと。だから開幕から試合に出られていることが出来すぎという感覚もありました。今はひとつの壁というか、試合に出るだけじゃダメなんだな、と思わされているところです。
先日、J1通算100試合出場を達成された時に「これまでプライドをへし折られながら進んできた」と話されていたのが印象的でした。
さっき「自分ひとりで何かできる選手じゃないと思ってる」と言いましたけど、プロ入りした時はそうじゃなかったですからね(笑)。すぐに自分が中心になってバリバリにチームを引っ張ってやれるぞって思ってて。けど実際は全然無理で。試合も出れなくて、これが足りないあれが足りないっていろんな人に言われて。それに対して「なんだよ!」って思うよりも、もうできないことを受け入れていくしかない、と思えたことで徐々に成長できてきたんです。試合に出て勝つためにはそれが苦手なことでもやらないといけないことがあって、自分のこうしたいっていうどうでもいいプライドは必要ないと。
なんだよ!って放り出さなかった。
考えるのをやめたら終わりだと思ってるんです。この監督合わない、とかこの選手合わないとか、それは好きに言えるし、実際言う選手もいると思う。そこで終わっていいならそれでいいけど僕は活躍して試合に出たいし残りたかったから、それならやれることやるしかないなって。
そういうメンタルはどう育んでこられたんでしょう?
どうなんでしょうね。冷めてるというか、客観的に物事を捉えるところはありますね。この選手が試合に出ているのはこういう理由で、自分はここが足りないからスタメンに入れなかったんだな、とか。冷静ぶってるんですけど(笑)。メンタルの揺れはあるけど、常に考えることをやめないようにしています。
プロフィール

【山本 悠樹】1997年11月6日生まれ 滋賀県野洲市出身 クラブ公式プロフィール
関西学院大学ではユニバーシアードに日本代表として出場。2020年ガンバ大阪に加入すると、戦術理解度の高さ、広い視野、正確なパスを持つ「ガンバの司令塔」として活躍し、昨季は副キャプテンを務めた。今季完全移籍でフロンターレに加入。開幕戦からスタメンに起用され、フロンターレの中心選手としての大きな期待が寄せられている。

フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye

山本選手は子どもの頃、線が細くて身長も小柄だったそう。その体格や身体能力を理由にJリーグの下部組織には何回も落ちたそうで、子ども心に「凹んだし、腹もたった」そうです。「だけどそういう人でも第一線でやれていることを知ってたから、それを理由に落とされたのは自分に他の魅力がなかったからかもしれない」とも思ったそうで、まさに子どもの頃から考える力があったんでしょうね。
「だからそういう身体が大きくない子たちにも頑張ってほしいなって思いはありますね。僕もそうだったから、諦める必要はないって思ってもらえると嬉しいです」ともお話してくれました。
ちなみに山本選手といえばファッション!!練習の帰り道で見せるそのおしゃれさは必見です!(女子力も高くてスキンケアにも気遣っているみたいで…今度ぜひそのあたりも伺いたいです。笑)