

MF19 河原 創
息の長い選手になりたい
プロ1年目はこの先やっていけないかもと思っていた
- インタビュー前に「河原選手はあまり話してくれないかも」といろんな人に言われたので少し緊張してます(笑)。
- はい、口数は少ないです。でも人と話すのは嫌いじゃないんですよ(笑)。
- 夏に加入されたばかりですが、仲良くなったチームメイトはいらっしゃいますか?
- シン(山田新選手)とはジョギングしてる時によく話したりしますね。あと、瀬川くん(瀬川祐輔選手)が歓迎会を開いてくれて嬉しかったです。旭(佐々木旭選手)、秀斗(田邉秀斗選手)、幸大(高井幸大選手)の4人でかな。瀬川くんが会話を回して、旭がなんか言って秀斗が突っ込んで、幸大が変なこと言ってって感じで盛り上がりました。
- 河原選手は?
- それを見て笑ってました(笑)。
- これまでのクラブとの違いを感じることはありますか?
- 年下の選手が先輩をあだ名で呼んだりするじゃないですか?僕はずっと上下関係が厳しいところでやってたんで、それがすごいなって。タメ口で話したりもしますよね。関東ではそれが普通なのかな?と思ったり。僕には先輩をあだ名で呼んだりできないです…。
- 熊本のご出身で、高校、大学とずっと九州。2020年に地元のロアッソ熊本に加入されました。ちょうどコロナ禍でしたね。
- だからプロ1年目の開幕は6月の後半くらいで。スタジアムは無観客で、お客さんが入っても声出し応援禁止。聞いていた「プロ」の世界とは全然違っていました。
- 熊本は当時J3でしたが、昇格させて自分もいつかJ1で活躍して…といった目標を抱いたプロ入りだったんですか?
- いや、「やっていけるのかな」っていう不安の方が大きくて。プロにはなれたけど…みたいな不安な気持ち、そっちです。チームに合流しても手応えみたいなものを感じられなくて。この先プロとしてやっていけないかもって思ってました。だから正直に言うと、あのコロナ禍で試合が止まっていた時間がなかったら、たぶん今も試合に出られていないと思ってます。
- あの時間が大きかった?
- 試合のない期間、基本的にずっと監督から怒られてたんです。指導してもらっていたんですけどね。ずっと言われてばっかりだし、じゃあどうしようって考えて。だったらもう言われたことをやろう、と。まずは監督が言ってくるものに対して、そこにフォーカスしてやってみようと思ったんですね。
- それまでは自分のやりたいプレーを出したい思いが強かったということですか?
- そうだったと思います。でもやってみたら監督の求めてることがベースとしてできていれば、そこにプラスアルファでいろんなものを足していける、と気付けたんです。やりたいことをするには、監督が言っている土台を作らないとどうにもならないことが分かったというか。
- 怒られるのも嫌だし言われることをやってみたら、あれ?結構いいじゃんってなった。
- 人が言ってくれることって意外と合っていたり、正しいことが多いんじゃないですかね。どれだけ自分で考えても、周りから見たら自分の正解が違ったりするじゃないですか。なので人から言われることに対しては、受け入れてやっていこうっていう考えになりましたね。
- 河原選手といえば「運動量」。1試合で13キロ走るのはすごい数字ですが、ダブルボランチを組む山本悠樹選手は「運動能力だけじゃなくいろんなものが見えているからこそ、そのカバーに走れる」と評されていました。
- 確かに素走りでそんな走れるかって言われると、そういうタイプじゃないと思います。フィジカルもそこまでないし、速さもないし。その分色々見ながらやっているので、その通りだなと自分でも思います。
- そうなると武器は「見えている」ということになりますね。それをどうやって手に入れたんですか?
- どうなんでしょう。守備の時に首を振る回数は多いかな とは思います。相手の位置や味方の位置を見て、どこが危ないかな、ここに立っておくといいかなっていう感じで毎回準備はしてます。
- よくサッカー選手が「首を振る」と表現しますけど、それも技術の1つなんですね。
- そうだと思います。
- すでにフロンターレの中心選手として活躍されていますが、この場所で何を得たいと考えていますか?
-
やっぱり、タイトルを取りたいというのはあります。そのためにこのチームに来ましたし。
個人としては…なんて言えばいいのかな…そこまでめちゃくちゃ活躍したい、とかじゃないんです。いやもちろん活躍はしたい。したいんですけど、でも、こう…「なんかいてくれると安心する」と言われるような、息の長い選手になりたいなと。何歳までとかはないんですが、できるだけ長くこの高いレベルの中でやっていきたいと思ってます。 - ものすごく高いところに目標を置く、というタイプではないんですね。
- 自分は目標を高いところに置くのは無理なんです。それができなかったことに対して嫌になってしまうタイプなんで、高い目標を掲げないようにしてます。大きいこと、言ってみたいですけどね。

【河原創】1998年3月13日生まれ 熊本県山鹿市出身
運動量、ボール奪取能力に加えパス配給能力を兼ね備えたボランチ。九州のサッカーの名門校、大津高校、福岡大学を経て2020年、当時J3のロアッソ熊本に加入。プロ1年目からレギュラーポジションを掴み、翌年のチームのJ2昇格に大きく貢献。2022年はJ2リーグベストイレブンにも選出された。2023年サガン鳥栖に移籍すると「鳥栖の心臓」として初のJ1でも活躍をみせた。2024年8月に川﨑フロンターレへ完全移籍。


初めての河原選手へのインタビューでした。他の番記者さんなどから聞いていた「あまり喋ってくれないかもよ」という予想は真逆でした!むしろお話が楽しすぎて、インタビュー時間があっという間。試合後のミックスゾーンなどとはまた違う一面を見せてくださったのだと思います。
前所属のサガン鳥栖で金髪に髪を染めていた理由を「金髪の人はちょっと怖いかもと思われるけど、喋ってみたらそんなことはない、というギャップを狙ってました」と話してくれた河原選手。私も今回、お話する前の想像とのギャップにやられ、すっかりファンになってしまいました(笑)。
とはいえ、先輩にはあまりグイグイと話しかけにいけないことは事実らしく、大津高校の大先輩・車屋紳太郎選手とも「まだそこまで話せていない」とのことでした…が!!一方の車屋選手に聞くと「もうあいつは車屋軍団に入っている」とのこと。そのことを伝えると「そうだったんですか!?」と戸惑いながらも嬉しそうでした(笑)。これからお2人の関係がさらに深まっていくことにも期待です。