川崎フロンターレ 高井 幸大選手 川崎フロンターレ 高井 幸大選手

DF2 高井 幸大

努力してきたからこその自信

与えられた練習は全力でやった

高井選手はよく「メンタルが強い」と表現されますよね。
弱くはないと思いますけど…メンタルが強いってどういうものなんですか?
確かに難しいですね(笑)。私のイメージでは、何事にも動じないとか焦らないとか?
そういうことですか。じゃあ僕はそうだとは思います。いや、でも自信があれば自然とそうなるものだと思うんですけどね。
高井選手はユース時代から動じない印象です。その頃から自信を持てていたんですね。
はい、ある程度は持てていたと思います。
自信があると言葉にすることは簡単じゃないと思います。
自分が努力してきたから言えるんじゃないですか。それくらい人より努力してきたと思ってるので。
ただ最初は努力というより持っているもので勝負していて。でもサッカーが楽しくて、プロ選手になりたい思うようになってそこからもっと努力しました。
例えばどんな努力をしてきたんでしょう?
特別なことじゃなくて、とにかく与えられた練習は全力でやってました。自主トレをすごくやったとかではなくて…オフの日は友達とも遊んでましたし。
ほかの人と差をつけたと思えたところはありますか?
わかんないっす(笑)。人より自分のほうが頑張ったよなって。練習が終わったら、今日の自分も頑張った!って思っていたので。
プロサッカー選手を目指す子ども達にアドバイスを求められたら、高井選手はなにを伝えますか?
なんだろう?本気でサッカー選手になりたかったら、すでにもう本気で考えながらやってるはずなんですよね。本当にプロになる選手は小中学校の頃から自分で考えてやってるので、何かを言う必要はないと思います。
なるほど。プロになるような選手は子どもの頃から違う。周りでプロになった選手もそうでした?
人に言われてやるわけじゃなくて、自分からやってたと思います。1学年にひとりかふたりですね、そういう選手は。
このお話を聞いているのがACLEファイナルを終えて2週間くらいのタイミングなのですが、そのお話も少し伺わせてください。ずっと取りたいタイトルの1つとおっしゃってましたよね。
はい。難しいタイトルなのは間違いないので。育成組織の頃からファンとしてトップチームがそこに挑戦するのを見ていましたし。
自分がアジアタイトルを獲る力になりたいという思いもあった?
そう思ってました。それはプロになってからですけどね。僕はデビュー戦もACLだったので、ACLにはなにか縁があるなって。
大会後の高井選手の印象的なコメントが「個が最大の戦術だ。個に勝るものがないとこの大会を通じて思った」というものでした。
チームとしてそこまで差があるかって言われたら、たぶんないんです。ただ実際3試合全てで相手にすごくボール持たれていて。それは何が原因かって言われたら、1人1人の選手の差がやっぱりそこにはあったかなと。ヨーロッパでやってた選手とかすごい選手たちがいっぱいいたんで、仕方ないところはありますけど。個のところはやっぱサッカーにとって1番大事だと感じましたね。
組織力の強みを生かしつつも、結局はやっぱり個を伸ばさないとトップにはいけないと。
そうですね、勝てないと思います。ただもちろん組織で戦うことも大切ですし、その大切さを知ったのもこの大会だったことも確かです。
高井選手が個の部分でこれからさらに伸ばしたいところはどこですか。
全部のアベレージが足りないと思っていて。1つ1つの能力の平均値がちょっとずつ低いかなと。もっと自分1人で大きなスペースを守れるようになりたいですね。そしたら前線の選手も(後ろを)信頼してもっと前からプレッシャーかけられると思うし。
自信を持ちながらも、課題もしっかり持っていらっしゃるんですね。
もちろんずっと課題はありますよ。僕は勝ち続けてきたサッカー人生じゃないんで…優勝とかもあんまりしたことないし。ある程度のレベルではやらせてもらってますけど、自分をエリートだと思ったこともないですしね。
タイトルを獲る経験はやはり必要ですか?
フロンターレでタイトルを獲ることは、自分にとってとても大事なことです。プロに入ってからチームは天皇杯で優勝しましたけど、僕は決勝に出てないですしね。まずは今年タイトルを獲って、またACLEでいい結果をだせるようにと思ってます。
最後にプライベートのお話も教えてください。サッカー以外だとなにしてるときが1番楽しいですか?
最近だと、ご飯食べてる時ですかね。
誰と?
誰でもいいんです(笑)。1人でご飯食べるの寂しいんで。たまにひとりで外食に行きますけど、寂しいからあんまりしたくないですね。
最近食べた美味しいものはなにかあります?
お寿司!知り合いの方に連れていってもらったんですけど、めっちゃうまかったです。ウニとかマグロが好きなんですけど、そこで食べた光り物がめっちゃおいしくて。アジだったかイワシだったか…アジだ!びっくりしました、あれは。
20歳でお寿司のネタでアジが好きっていいですね。大人な感じで(笑)。
そうですよね。ちょっとツウ感ありますよね。普通じゃないぞこいつはと。そういう感じ、いいっすよね(笑)。
プロフィール

【高井幸大】2004年9月4日生まれ 神奈川県横浜市出身 クラブ公式プロフィール
192センチの恵まれた体躯を持ち、空中戦、対人の強さが武器のCB。正確なフィードを繰り出す足元の技術にも長けている。U-12からフロンターレの育成組織で育ち、2022年高校2年生でプロ契約。同年4月ACL広州FC戦でプロデビューを果たす。2024年のパリ五輪では最年少の19歳で代表入り、守備の要として活躍。これからの日本を代表するDFとして大きな期待が寄せられている。

フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye

インタビュー中はすっかり「高井ワールド」に引き込まれてしまいました。どんな質問にも端的にずばっと、しかし笑顔で答える20歳を目の前に、謎の敗北感がありました…(笑)。文中では「動じない」がピッチでの話になっていますが、高井選手はピッチの外でも動じない人、という印象。
ただ、高井選手の持つ独特の空気感をうまく文字で伝えられないことが歯痒いのですが、文字にすると「自信満々」的なコメントも、高井選手が発すると良い感じで力が抜けてるんです。こっちがニヤッとしてしまうくらいに。
一方でピッチでは気迫溢れるそのプレーで見る人を惹きつけるCB。高校2年生でプロ入りしてからあっという間にフル代表まで駆け上がってきた、とにかく末恐ろしい20歳なのです。
ちなみに子どもの頃憧れていたのはフロンターレにも在籍した鄭大世さん。テセさんのようなゴリゴリのFWになりたかったそうで、今も毎試合ゴールを狙っていると話していました。

⾼⽊聖佳
⾼⽊聖佳(X @takagikiyoka