

DF4 ジェジエウ
好きなサッカーを続けてきたから、ここまでこられた
小さい頃から見ていた日本
- ケガから復帰され、今はコンディションが上がっているように見えます。
- 筋肉系のケガをしてしまったことで今季の前半戦はすごく苦しい時間を過ごしました。今は試合をこなしながら、またゲーム勘や自信を取り戻せるんじゃないかなと思います。
- リハビリの時期はメンタル的にも厳しかったのではないかと想像します。
- もちろんストレスも感じますし悲しい気持ちにもなるんですけど、落ち込むのではなくできる限り明るく考えようと思ってました。サッカーでケガをしたとしても、子どもの頃から好きなサッカーを続けてきたからここまでこられた。サッカーは楽しむスポーツなので、それを理解して笑顔や明るさを持って取り組もうと。
- 日本でのプレーは7年目です。こんなに長く日本でプレーすることを想像されてましたか?
- 来日1年目の時、当時の強化担当の方と話をする機会があったんですけど、その時に「これからフロンターレで10年間プレーします」って言ったんです。その時は10年ってすごい先のことだろうなと思ってたけど、もう7年ですね。
- なぜその時そう思われたんでしょう?
- 本当に正直な気持ちで、10年ぐらいいたいなって思ったんです。日本という国を見て、生活してみて、いい国だと感じましたし、クラブもそうでした。まるで自分のマイホームにいるような感覚がありました。今もフロンターレのユニフォームを着てずっとプレーしたいと思ってます。
- ジェジエウ選手が感じた日本の素晴らしさはどこでしょう?
- まず、日本人は人にリスペクトの気持ちを持っていることが素晴らしいと思います。もちろんブラジル人からすると安全性もそのひとつです。日本人の人生の長さがそれを表してるんじゃないかな。ブラジル人であり、ブラジル人が好きで、ブラジルが好きですけど、心は日本にあります。
- フロンターレのどこに魅力を感じますか?
- クラブの周りの方々と一緒に何かを作り上げていくところがとても良いと思います。サポーターとの関係や、ファンと一緒にみんなでイベントを楽しむところ。そこは1番の驚きでした。あとは、選手育成に関してもおそらく日本のなかでも特別なクラブだと考えてます。ここまでたくさんの選手が加入して、ここで時間を過ごしてA代表に呼ばれていった。そういうクラブで長く過ごせることを嬉しく思います。
- 昨年J1リーグ100試合出場を達成されました。外国籍DFとしてはクラブ史上2人目だそうです。
- もっと出場試合数を伸ばしたかったですけどね。ケガの影響で時間を消費してしまったことは残念です。
- ジェジエウ選手は日本で長くプレーする外国籍選手として、新加入の外国籍選手にも目を配ってらっしゃると感じます。
- 日本の文化を教えたりとか、免許を持ってない選手がほとんどなので電車の乗り方を教えたりはします。あとは日本語の単語やサッカーの用語を教えるとか。なにより日本では「辛抱強く仕事をしないといけないぞ」ということを伝えます。たまにブラジル人選手で、なかなか試合に絡めないことでイライラしてる選手がいるんですけど、そういう選手を落ち着かせるとかね。
- 日本のあちこちに観光に行きたいとおっしゃってましたね。
- これまで1番のお気に入りは沖縄です。奥さんが海が大好きなんです。大阪も何度か行きました。でも、このあたり…関東の界隈もいろいろ行きますよ。今も東京都内に行くと毎回「俺、東京にいる!」って思うんです(笑)。ブラジルに住んでいる時から映画やアニメで東京を目にしていたけど、そこに本当に行くとは思わないじゃないですか。でも「小さい頃から見ていた場所にいる!」って。
- 日本のアニメを見てたんですね。
- ブラジルのチャンネルでやってるんです。ドラゴンボールとか、昼食の時間にいつもテレビで流れてて。だから日本に興味を持って行ってみたいというブラジル人は多いし、自分もそうでした。子どものとき、よく親に言われてましたよ。「お前、日本に行きたいの?だったらここを掘って(地球の)真逆に行かなきゃ」って(笑)。
- ここからの目標も教えてください。
- もっともっとタイトルを獲りたいです。やっぱりタイトルを獲ることによって、クラブやクラブの周りがより成長できると感じてます。クラブに関わる全ての人たちが、1番見たくて喜べるのはタイトルです。タイトルを獲った年に、みんなが笑顔で喜び合う姿を見るのがとても好きです。クラブには本当にいろんな人が関わっていて、例えばグラウンドキーパーの人もそうですし、もちろんサポーターも…そういう全ての人たちに喜びを与えられる唯一の存在って選手だと思うんです。だからこそ、自分たちはピッチの中でできることを精一杯やって、タイトルという形で全員で喜びたいと思っています。

【"JESIEL" Jesiel Cardoso Miranda】1994年3月5日生まれ ブラジル・サンパウロ州出身 クラブ公式プロフィール
2015年ブラジルの名門アトレチコ・ミネイロの育成組織からトップ昇格。2019年川崎フロンターレに当初は期限付き移籍で加入し、以来7年間プレーを続けている。どんなFWにも当たり負けしないフィジカルの強さと守備範囲の広さを武器に、フロンターレの守備の要として活躍。一方、来日以来幾度かのケガを乗り越えており、今季も離脱とリハビリを経て6月25日の新潟戦で復帰すると、スタメン起用の期待に応えアシストを記録するなどチームの勝利に貢献した。2020年、2021年Jリーグベストイレブン受賞。


もう7年目。フロンターレにジェジエウ選手がいることが当たり前になってしまっていたので、そうか、外国籍選手なんだ!と改めて思い出したような気持ちになりました。いつも笑顔でサポーターにも私たち報道陣にも接してくれる存在。
「でも険しい顔をする時もありますよ!相手FWと対峙するときは怖い顔をして恐怖感を与えてます(笑)」と話してインタビューの場を和ませてくれました。これまで幾度もケガに悩まされた苦しい時間も、その明るさでなんとか乗り越えてきたんだろうと想像します。そして今回お話を伺い、こんなにも日本を、フロンターレを好きでいてくれるんだと嬉しくなりました。
ちなみに「今どれくらい日本語を理解してらっしゃいます?」と聞いたら、その質問の途中で「ワカル!」。通訳の中山さんによると「今の質問はすべて分かってます(笑)」。文法通りには難しいけど、単語はもうだいたい分かっていて、単語を繋げて話すことはできるそうです。
今季は離脱の時期が長かったですが、ケガも癒えたここからの終盤戦、フロンターレのDFラインを統率するジェジエウ選手の存在の大きさを感じることになると思います。
