川崎フロンターレ マルシーニョ選手 川崎フロンターレ マルシーニョ選手

FW23 マルシーニョ

自分がフロンターレの歴史を描いていきたい

たくさんのNOを突きつけられてきた

2021年のフロンターレ加入からここまで、マルシーニョ選手にとってどんな時間でしょうか?
とても素晴らしいものです。4年前、日本のみなさんは僕をとても温かく迎え入れてくれました。自分だけではなく家族もそう感じていて、そこから家族みんなハッピーに過ごしています。日本人は誰でも温かく歓迎すると思うんですが、それまでの海外での経験とは違うものでした。最初は知らない国に行く不安な気持ちもありましたけど、その温かさのおかげですぐに自分はすごくいいところに来たなと思うことができました。
そこからもう5シーズン目を迎えましたね。
こんなに長く日本にいるとは考えていなかったです。ただ、自分はどこのクラブに加入するときもできるだけ長くプレーしたいという気持ちを持っていますし、そのなかでタイトルを獲ったりそのクラブの歴史に自分の名を刻みたいと思ってキャリアをスタートさせています。だから、僕が加入した2021シーズンにチャンピオンになれたことはとても良いスタートになりましたね。
すでにマルシーニョ選手はフロンターレに名を刻んだ選手の1人になっています。
クラブハウスの入口にもタイトルを獲った時に僕が写っている写真がありますよね。選手は他のクラブに移籍したり引退したりとそのクラブから場所を移していくものですが、クラブは続いていきます。その歴史に自分の名を刻めたのはとても嬉しいことですし、まだここからももっと自分がフロンターレの歴史を描いていきたいです。
J1出場100試合も達成されました。ここまで活躍を続けられている要因をどう考えますか?
まずは家族の支えです。選手として調子が悪い日やうまくトレーニングできなかった日は絶対にあるので、そういうとき家に帰ってからの妻や娘たちの支えは大切なものです。また、神様がいつも自分を支えてくださっていることも大きいです。もちろんフロンターレというクラブのスタッフやサポーターにも支えられています。他のクラブであったならここまで支えてもらえているかはわかりません。これまで大きなケガもなくやってこれたのは、そうした周りに支えられてきたからだと思います。あとは日々の努力とケア、体調管理も要因になってくると思います。
マルシーニョ選手はいつも練習の大切さを話されます。これからサッカー選手を目指す子どもたちに伝えるならどんなことでしょうか?
僕は、目標は努力なしには絶対に到達できないと思っています。サッカーの思い出ではないんですが、僕が子どもの頃、ブラジルでは凧(たこ)揚げがメジャーな遊びでみんなやっていました。でも僕自身はお金がなくて凧が買えなかった。だけどなんとかしてその遊びをしたいと考えたときに、だったら空き缶を集めてそれを売って小銭をもらって、それで凧を買おうと。すごくシンプルですよね。同じようにサッカーでも、自分がサッカー選手として活躍できることを信じて、それに向けて進んできました。大事なのは自分自身を信じて、その目標に向かって努力することです。
まず自分が自分を信じることが大切なんですね。
もちろん難しさはあると思いますが、我慢強さや、打たれてもまた立ち上がる気持ちが大切です。実際僕自身もこれまでたくさんのNOを突きつけられてきました。サッカーのプロになるためのテストを何回も何回も受けたけど、その度にNOを突きつけられてきました。でも諦めずに続けてきた結果、こうして自分も家族も愛するこのフロンターレというクラブ、日本という国にたどり着けました。自分を信じて目標に向けて努力してほしいです。僕自身もJ1出場200試合、300試合という目標に向けてこれからも努力を続けていくつもりです。
今季も残り少なくなってきました。今後に向けた思いを教えてください。
今季、浮き沈みはありますがタイトルの可能性も残っています。そのためにまずはチームのためにしっかりと自分自身の全力を出していきます。自身のゴールはもちろん、誰かにアシストするのもそう。選手として好不調はあるにしても、できるだけ高いレベル、高いパフォーマンスでチームのためのプレーがしたいです。全力で努力して、これから先ももっともっと自分も成長していくつもりです。そうしていくなかで、良い流れができていくと信じています。
最後に、マルシーニョ選手はユニフォームをパンツにしっかりインするのがトレードマークになっていることについて触れてもいいですか?
それはよく言われます(笑)。もう子どもの頃からずっとだから僕のなかに理由はないんですけど、インしていないと落ち着かないんです。気持ちが良くないというか。でもこれは洋服の着方の好みなだけで、ユニフォームだけじゃないんですよ。普段着ている服でもズボンにはベルトを着けて、シャツをインします。見てみてください(笑)。
プロフィール

【"MARCINHO" Marcio Augusto Da Silva Barbosa】1995年5月16日生まれ ブラジル・リオデジャネイロ出身 クラブ公式プロフィール
2015年のプロデビュー後、ブラジル国内の複数のクラブや中国でのプレーを経て、2021年に川崎フロンターレ加入。スピードとテクニックで相手DFを突破していくプレーでフロンターレのタイトル獲得に貢献し、以来サイドアタッカーとしてフロンターレの攻撃を牽引し続けている。2022年Jリーグベストイレブン受賞。2025年2月、J1通算100試合出場達成。

フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye

いつも笑顔で目がキラキラしていて、サッカー少年がそのまま大人になった雰囲気のマルシーニョ選手。チームメイトやサポーターからは「マルちゃん」と呼ばれ親しまれています。
そのプレースタイルも魅力いっぱいで、スピードにのったドリブル突破でスタンドを沸かせ、ボールを持ったら前へ前へ。まさに見るものの目を釘付けにしてしまう選手です。そのプレーを表現するためにこれまでどれだけの努力を重ねてきたのか、今回少しだけですが、インタビューしながら感じることができました。
ところで、最後に触れた「シャツイン」のお話の時。「普段の服装でもインしているのを見て」と言いながら、スマホに入っている写真を本当に見せてくれました(笑)。はい、きっちりベルトをして、きっちりシャツをインしていました!プレーのしやすさではなくご本人の言うとおり好みの問題なんですね。ちなみにベンチにいる長谷部監督もシャツをインするきっちりスタイル。「監督もインしていることには気づいていた」そうです(笑)。

⾼⽊聖佳
⾼⽊聖佳(X @takagikiyoka