川崎フロンターレ エリソン選手 川崎フロンターレ エリソン選手

FW9 エリソン

強い気持ちをピッチで表現する

最初の給料でおむつを買いました

来日されて2年目のシーズンです。
今はもう自分の家のような感覚で日本での時間を過ごしています。すごくいい環境の中で毎日が幸せな気持ちでいっぱいです。日本の全てが素晴らしいですが、自分の中では特に静かな生活ができることが1番気に入っているところです。ブラジルの環境はもう少し騒がしかったので。
フロンターレでプレーする日々はどうでしょう?
日頃からピッチ内外で困っていることがあればサポートしてくれるチームメイトたちがいますし、日本語も少しだけ理解して喋れるようになってきました。去年よりコミュニケーションが取れるようにはなりましたし、フロンターレの一員でいられることはすごく幸せです。ただ、目標であるタイトルにはまだ手が届いてないので、そこに関してはすごく残念な気持ちです。これからより多くのゴールを重ねて、もっとチームの力になりたいですね。
よくコミュニケーションをとる日本人選手はいますか?
ヤス(脇坂泰斗選手)は、特にピッチ内でよく話しかけてきてくれます。ポジションも近いので、いつも右、左といった動きや、スペースをどうやって詰めていくかのコーチングも含めてコミュニケーションを取ります。ふざけ合ったりもしますし(笑)。言語は違いますが通訳を介して他の選手たちとも会話はしています。
先日、試合後のフラッシュインタビューで「ここまでの自分の人生は簡単なものではなかった」とエリソン選手が話されていたのが印象的でした。
そうですね。ピッチ内外両方に関してですが、自分の歩んできた人生はそんなに楽な道ではありませんでした。ピッチ外では生活の部分であまり良い環境で過ごしてくることはできませんでした。ピッチ内でもこれまでいろんな壁にぶつかって、それをクリアしてきました。その時々でこれが難しかったというより、成長する過程での自分の人生を振り返ると、本当に難しいことが多かったです。
プロのスタートは2019年、ECキンゼ・ジ・ノヴェンブロというチームでしたね。
日本でいえばJ2リーグくらいのカテゴリーのチームです。いつかは海外でプレーしたいという目標を持って、ずっと努力を続けていました。若い頃はサッカー選手としていろんなことが起きてもいいように、自分の中で常に準備していましたね。
チームの公式プロフィールに、1番最初のお給料の使い道が、おむつをたくさん買ったとありました。
最初のクラブは大きなチームではなかったので、給料としては本当にごくわずかなものでした。そのタイミングで奥さんの妊娠が発覚して、子どもが生まれる前の準備に給料を費やそうと。だから最初におむつを買いました。もちろんおむつだけじゃなく子ども服とかも買いましたけど、とにかくもう給料のほとんどは長男のために最初はなくなったと思います。多分、それなりのサラリーをもらうサッカー選手は最初の給料ではアクセサリーなんかを買うんでしょうね(笑)。
そこから今こうしてフロンターレのエースストライカーとして活躍されています。サッカー選手としてサクセスストーリーを歩んでこられた理由をご自身ではどう考えられますか?
まず自分はサッカーがとても大好きだということ。そこが1番の基本です。練習もすごく好きです。今も常に成長を求めながらやっていますし、新しいものを吸収して学んでいきたいという考えも持っています。現状に満足もしていません。まだまだこれからも成長できるし、成長しなければいけない。これまでいい時も悪い時もありましたけど、これから先はもっともっといい形にできるはずですし、自分はまだまだできる、と信じてます。
エリソン選手の強烈なシュートは一見の価値がありますが、前線からの激しくボールを追う姿も迫力があります。あの守備の意識は来日して強くなったものですか?
監督から特に要求されている部分ではあります。でもプレスをかけに行くところは、元々自分の特徴のひとつでもありました。ああいう形でプレスにいくことで、自分の強い気持ちをピッチの中で表現できるのかなと。日本に来てからの方がより要求もされますし、自分としてもより形として表現できるようになったのではと思います。技術面も日本に来て成長できていると感じてます。今季も残り少ないですが、ここからも自分のできることを精一杯MAXでやっていくつもりでいます。
ちなみに好きになった日本食はありますか?
カレーライスです! あとはシュウマイです。
好きな日本語は?
「アイシテル」ですね! サポーターの皆さんがよく言葉にしているので覚えました。
プロフィール

【"ERISON" Erison Danilo de Souza】1999年4月13日生まれ ブラジル・サンパウロ州出身 クラブ公式プロフィール
左足の強烈なシュートが武器のストライカー。圧倒的なフィジカル、しなやかな足元の技術、スピード、パワーを兼ね備える。加入2年目の今季はここまで負傷離脱の期間があったにも関わらず12得点とゴールを量産(25試合出場・取材時)、フロンターレの得点源として大きな存在感を示している。ゴール後に披露される「闘牛パフォーマンス」はサポーターにはお馴染みで、ゴールのたびにスタジアムを盛り上げている。

フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye フリーアナウンサー 高木聖佳’s eye

エリソン選手のサインは「ERISHOW(エリショウ)」と書きます。その由来は子どもの頃からのあだ名。エリソン少年は周りの同級生のなかで飛び抜けて身体が小さくて、でもその小さなエリソン選手がサッカーボールを扱うと素晴らしいプレーを連発し周囲を驚かせていたそうです。圧巻はドリブル。そのプレーを幼馴染が「SHOW TIME」と表現したことから、「エリショウ」と呼ばれることになったとのこと。SNSのアカウント名としても使っているこのあだ名は、エリソン選手にとってよほど愛着があるんですね。
180センチ83キロの今では小柄なエリソン選手は想像できませんが、身体の成長と共にプレーも変化してきたそうで「子どもの頃はフェイントしたり、ボールをまたいだりするのが大好きでした…あの頃のドリブル感が恋しくなる時があります」と笑って話してくれました。

⾼⽊聖佳
⾼⽊聖佳(X @takagikiyoka